就活支援カフェ

 新静岡駅から徒歩約10分のところにある「就活支援カフェ NANA- SHOKU(ナナショク)」。ナナショクの外装はガラス張りで解放感がありドアには木を使用していて温かみのある雰囲気。我々取材班は、学生の就活を支援するカフェのコンシェルジュ、門脇里奈さん=静岡県立大学4年生に話を聞いた。

【「就活支援カフェ」取材班】


ナナショクの店内

 店内に入ると落ち着いた照明で木目を基調としていてモダンなデザインが取り入れられた店内は一人でもグループでも居心地よく、リラックスできる空間だ。

 ナナショクは「7色の仕事に出会える場所」をコンセプトに2021年11月1日に静岡県内唯一の就活支援カフェとして静岡市七間町にオープンした。営業日は火曜日から金曜日で午後1時から7時。

 門脇さんによると、就活支援カフェと呼ばれる理由として挙げられるのが企業と気軽に交流できること。来店した学生の就活に関する悩みの相談、エントリーシートの添削、さらには面接練習ができる。これらはすべて無料でできる。

学生コンシェルジュが常駐

 ナナショクには就活を経験し、たくさんの知見や経験をもっているコンシェルジュと呼ばれる学生スタッフが常駐している、門脇さんもその一人。デジタルマーケティングという業界に就職することが決まり、4月からは東京の企業で働き始めるという。我々取材班が実際インタビューした際には合計3人のコンシェルジュさんがいて、インタビューは門脇さんの他2人のコンシェルジュに話を聞いた。

 ナナショクはとてもユニークな試みを行っていて、18歳から25歳までの学生は来店すると最初のドリンク一杯が無料になるということ。ドリンクは非常にこだわっており特にコーヒーは世界の豆の5%未満しか適さない高品質な豆を使用しているという

 最初の1杯が無料でさらに面接練習なども無料でできるのには理由がある。それは静岡県内の企業から協賛金をナナショクが得ているからだそうだ。協賛金を払った企業はナナショクで、学生と直接話す機会を得ることができることができることもあり、ナナショクには現在4社の協賛企業がある。

 取材班がインタビューの最中、「緊張しながら堅い雰囲気で取材を行うものなのか」と思っていたが、店内の落ち着いた雰囲気と非常に話しやすいコンシェルジュの方と話せて「ナナショクなら自分の就活の悩みでもなんでも話せるな、本当に話しやすいな」と思えた。

 ナナショクにいるコンシェルジュは合わせて7人で全員が大学生。コンシェルジュの業務内容としてはドリンクを作って提供、就活の悩みの相談、エントリーシートの添削、面接練習、さらには企業がナナショクへ来店する日の調整を行うということだ。

 ナナショクで働くうえで感じる、大変なことや、やりがいについて、門脇さんに詳しく聞いた。

 「シフトを提出して働いているため、いつもお店にいるわけではありません。そのため、自分が働いていない日に何が起こっていたのかを把握することが難しい」と語る。例えば、どんな企業の方が来て、どんな要望を伝えていたのか。また、どんな学生が来て、何を不安に思っているのか、といったことが挙げられる。次に会ったときに、自分もその話を知っているというレベルまで理解しておくために、コンシェルジュ同士の情報共有が欠かせない。「毎回の出勤時に、いかにコミュニケーションをとれるかが重要であり、大変なことである」と語った。

 門脇さんは、就活生時代ナナショクを利用していて、このときサポートしてくれたうれしさを恩返ししたいという気持ちから、コンシェルジュとして働き始めたという。

 今は就活生をサポートする側として、自身が味わった苦労や経験を生かしたいと語っており、カフェを訪れる後輩たちに頼られたときには大きなやりがいを感じるという。また、「企業の方と学生をつなげるという仕事は、ここでしかできません。大変なこともありますが、こうした貴重な経験ができることもやりがいの一つです」と笑顔で語った。


コンシェルジュの保田さん(左中央)にイタビューする取材班

 私たち取材班はナナショクのコンジョルジュ兼マネージャーもやっている保田侑輝さんにもインタビューした。保田さんは現在、常葉大学4年生で造形学部に属しており、環境デザインコースに所属している。「ナナショクのコンシェルジュの方が真摯(しんし)に話を聞いてくれてさらには就活のアドバイスもしてもらいとても自信を持てるようになった」と話す。そして人と話すのがとても楽しいと思えるようになったことで、企業さんや色々な人と会話して行って就活スキルがどんどん上がっていったと実感した。

 とはいえ、保田さんは、きつかったこともあったそうで、資格勉強と大学の勉強を両立させるのが大変だったという。保田さんはナナショクにはたくさんの企業の人が来てもらえるので、いろいろな出会いの場があるという。その出会いによって就活の際にいろいろな形態の企業の情報も知ることができるので就活においてとても有利になるということも語っていた。ナナショクで働いてみてどのようなやりがいがあったのかと言うことを聞いたところ、学生から感謝をもらえた時が一番やりがいがあるという

イベントを見学

 保田さんからナナショクで行われるイベントに招待され後日、招待してくれたイベントに見学することができた。ナナショクではさまざまなイベントを開催しており、今回のイベントはセブンズゲートと呼ばれるものだった。

 セブンズゲートでは、金融、保険、IT系など多くの業種の企業から人事担当者が集まり、それぞれの企業についてプレゼンを行っている。次に、各企業の方と就活生たちが就職活動のことやその企業の特色について直接話す座談会が開かれている。その後就活生たちがグループディスカッションを行い、そこで企業の方に興味を持たれた就活生はグループディスカッション終了後に一対一で話す時間を設けられる、というのがイベントの流れである。

 今回は企業と就活生の座談会を見学した。就活というと堅苦しいイメージを持つ人も多いかもしれない。しかし、実際に見てみるとお互い和気あいあいとした空気で話していた。大きなイベントとは違い、各企業の人事担当者と就活生が密な会話をすることができるのがこのイベントの特徴だ。単なる企業説明会ではなく、お互いのことを深く知ることができた。

 福利厚生や給与などその企業についての話題もあったが、企業の方が就職活動における企業の選び方を教える場面もあった。何度もイベントに参加している人もいるようで、企業の方ととても気軽に話しているのが印象的だった。

 このような対話をするイベントでは、就活生が企業の方たちに見られているというのもあるが、実は企業の方も就活生に見られているそうだ。就活生はその人がどのような人なのかを見られて、企業の方は人事がどのようなものなのか見ることができる。そのため、企業の方も就活生たちが話しやすい雰囲気を作っているとのことだった。

 常に行っている就活のサポートや、企業の方と話せる貴重な機会を就活生たちに提供するイベントの開催など、就活生たちの不安や悩みに寄り添う「就活カフェ NANA-SHOKU」。就活への不安を取り除いてくれるような素敵なカフェだと感じた。「就活にちょっとでも何か興味があったり、不安があったりしたら来てほしい」と、保田さんは笑顔で語っていた。

 取材班は、川島那優汰、加藤綾音、古谷仁、田中陽斗(いずれも静岡大学人文社会科学部「地域メディア論Ⅰ」履修者)。

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